エンドルフィン立川(芸名)


歩く。


歩く。歩く。


歩く歩く歩く。




歩く。


最近は歩いている記憶しかない。
じっとりとした金曜の夜の道を歩いていると、とても幸せでどうしようもなく悲しい気持ちになった。
ふと最近結婚した同級生の顔を思い出そうとする。ウエディングドレス姿の彼女の顔は浮かんで来なかった。
放り投げた記憶はどこかへ跳ねていき、もはやその感触さえ思い出すことが出来ない。
望んだことだ。自ら望んだことのはずだ。そしてやはり今でもそう望んでいる。
雨も降っていないというのに、黒い空に稲光が奔った。
花嫁がこちらを向いた。その輪郭だけを残して顔には穴がすかんとあいており、向こう側の悪趣味な壁紙が見えた。
僕は楽しくなったのでがぶりと自分の左腕に噛み付く。ミシミシという音が骨伝導で頭に響く。
くっきりと残った歯形を右手の中指で撫でると、またおかしさがこみ上げてくる。
中指はそのまま進行し腋に到達。そこから進路を鋭角に変更しさらに進軍、ついに乳首に辿り着いた!
乳首を押す。ぐわあ。
子供に脚を掴まれてもがくアヒルのような声を出す。なぜなら乳首を押されたからです。
乳首をまた押す。ぐわあ。なぜなら乳首を押されたからです。


さて、ミルクチョコレートを食べよう。