2008-01-01から1年間の記事一覧
全ての物事には理由がある。理由などあればあるだけ無駄だ。理由には必ず意味というこれまたくだらないやつが付いてくる。付いてこない。 男は海が見える路地にたたずんでいた。男は歩き続けながら考える。 つまり世界は意味と振動の対立構造なのだ。 男は何…
横浜でトリエンナって来た。2度目だ。 やはり1度目と同じく、全く面白みのない展覧会だった。 ただ面白くもなんともなかった展覧会ではあったが、発見もあった。 会期も終わりに近いこの時期になると大体のパフォーマンスは既に終わっていて、パフォーマンス…
ずっと心の片隅に映し出されている風景がない。それはもはや僕の原風景と呼んでも良いものではない。 ただその風景を見なかったのは僕が20歳を過ぎてからで、原風景と呼ぶにはいささかまだ早いのかもしれなくもないが、その風景は確実に僕の心象の深いところ…
ずっと心の片隅に映し出されている風景がある。それはもはや僕の原風景と呼んでも良いものだ。 ただその風景を見たのは僕が20歳を過ぎてからで、原風景と呼ぶにはいささかまだ早いのかもしれないが、その風景は確実に僕の心象の深いところに棲み付き、核の部…
僕の手を噛んで下さい。その間だけ僕は正気でいられるのです。 歯形を見れば、正気であった瞬間を一瞬だけ思い出すことも出来ます。 そんなことを考えたって、女の人の裸を見ればチンチンは大きくなるし、部屋に洗濯機の音は響く。 風呂場の排水溝は小さいか…
過去は常に無感動に、所在なくゆるゆると流れていて 格好つけてモノクロになってしまったりするから そんなんだから僕は興味を失ってしまったりするのだ。 ああ本当に。本当にさ。 本当に何をやっても良いと思っている。 僕は何をやっても良いと思っている。…
その森は朝日が昇ってもまだ暗く、昼頃を過ぎてようやく森全体が濃い深緑の光に包まれるほど木々が茂る森でした。その時はわずかに森が明るくなっていましたから、お昼前頃だったのでしょう。 森には湖がありました。木々と空を映して青緑色のその水面はたっ…
「なあ君、誰かを好きになるということは綺麗なことでも素晴らしいことでもなくて、本当にどうしようもないことなんだよ」 そう呟きながら男は拳銃をもてあそぶ。 「なあ君、人間なんてものは本当にどうしようもないものだぜ。生命というもの自体がそもそも…
(中略) 世界復活!! ニャローン!!!
(中略) そして世界は滅亡した。
午前5時過ぎごろに起きる。 起きてすぐにファイアーエムブレムを遊ぶ。 3回リセットして3章分進んだ。 昼食はダブルチーズバーガーセットを頼んだ。 頼んだ直後にエビフィレオにすれば良かったと後悔した。 (中略) 夕食はチキンカレーを頼んだ。 頼んだ直後…
モニターに顔を埋めながらキーボードを叩いていると、涼しい風が入ってきた。僕は顔を上げて窓を見る。先ほどまで凪の状態であった池にさざ波が立ち、青緑の水面に映る雲が形を変える。 「シグレ」 廊下でなにやらゴソゴソやっているシグレを呼んだ。 「シグ…
崖の上のポニョは狂気の沙汰。 ボコボコボコってなって ポンポポンポンポンってなって どざーざーざざーってなって 宗介、好きー!ってなって ポニョー!ってなって ぐぐぐぐぐってなって 宗介のところ、行くー!ってなって ドバーってなって ぼこんぼこんっ…
持っているものをどんどん捨てて 大事なものもポイポイ捨てて 最後に残ったものをジャイロ回転でぶん投げて そんでそこらへんに落ちている石ころをポケットに押し込んで また歩けばいいと思うよ僕は。
RANDOMというCDを買った。 1つ5秒の単音トラックが99トラック入っていて、ランダム再生をすることで音楽になるというものだ。 一度再生してしまえば、同じ旋律には二度と巡り会えない。いや、正確に言えば巡り会う可能性はあるのかも知れないが、確率なんて…
目を覚ますと、電灯のヒモが目の前にあった。電灯に元々ぶら下がっている短いヒモに、ビニールヒモをくくり付けて長くしてある。眠ったまま掴めるように。 カーテンの隙間からは青白い光が漏れている。明け方のようだ。僕は布団から這い出し、ジーンズに脚を…
歩く。 歩く。歩く。 歩く歩く歩く。 歩く。 最近は歩いている記憶しかない。 じっとりとした金曜の夜の道を歩いていると、とても幸せでどうしようもなく悲しい気持ちになった。 ふと最近結婚した同級生の顔を思い出そうとする。ウエディングドレス姿の彼女…
「そもそも生物というものは両生類の時代からそれ以降、全く進歩していない。いやむしろ退化しているとすら言える。山椒魚は陸地で生活することは不可能ではないが、人類が水中で生活することは不可能ではないか」 チェコの権威ある生物学者であるサラマンド…
目次 状況が理解出来ない。鉛のような瞼を必死に持ち上げる。ガンガンガンという金属音が耳障りで腹が立ってきた。 「何やってるんですか瀬戸さん」 瀬戸がほんの少し緑がかった瞳をこちらに向ける。美人だ、と思った。そして同時に空虚だ、とも。 「ちょっ…
ベルトコンベアーで流れてきた部品のねじをゆるめる仕事をします。 部品が流れていった先で、同僚がゆるめたねじを締め直しています。それが彼の仕事です。 彼がねじを締めてしまうので、部品が僕のところへ戻ってきてまたゆるめ直す羽目になります。彼はそ…
僕はフワフワと当ても無くさまよい、交差点をこえ公園に入った。そこで若いカップルらしい男女を見つけた。僕は尋ねた。 「こんにちは」「あらこんにちは」 「あのう、ちょっと聞きたいんですが」「なにかしら?」 「僕は誰なんでしょう?」「まあ変な話ね」…
「遅い。2分遅刻だ」 エジンタハラがトゲトゲした声で言った。いつもは30cmほどの浮遊が、今は2、3cmにまで下がっている。かなりいらついている証拠だ。彫りの深い顔に強い影が落ちている。 「そんなに怒るなよ。悪かった。ほら」 そう言って黄砂瓜を手渡す…
文章を書くとどうしてもその時の感情に引きずられるよ。 そして今はとても恐ろしくて幸せなので、恐ろしくて幸せな文章しか書けない。 文体が変わることすら止められないのだね。 これはもはや心の奴隷だ。 鎖に繋がれながら、その鎖を誇りに思っている。 最…
「なあ」 「ん?」 「なあおい」 「どうした」 「前からずっと疑問に思っていることがあるんだが」 「早く言えよ」 「電車ってなんで携帯で話すのが禁止なんだ?」 「それはあれだよ、ベラベラでかい声で喋られたら迷惑だからだろう」 「でかい声でベラベラ…
ずっと一人で行きていくのかと思っていたよ。 ずっと一人で行きていくのかと思っていたんだ。 65536進数の世界に僕は生きる。 彼女はきっと131072進数の世界に。 あの人は…16進数ぐらいじゃねえの? 彼女には世界がどう見えているんだろうか。 彼女には世界…
最低な一日の帰り道。 空からパラパラと雨が降る。 全くこの雨は空気を読んでくれるねアホか死ね。 空を見上げて呪ってやったら雨足が急に強くなった。 傘は持っていなかった。 スーツの何より嫌なところは、数が無いから雨に濡れられないことだ。 全くこの…
職場の飲み会の帰り、ビール瓶を持ちながらテクテクと歩く。 つい30分前まで、当たり障りの無い話をしてニコニコ笑っていた自分の顔を引きちぎりたくなる。 特に吐きたくもないのに、植え込みに吐いてみる。 僕はいつも歩いている。 すれ違う人間全員に物理…
よるのロボットが最初にみたのは、一面に広がる満天の星空でした。 遠くでトラックが走り去る音が聞こえました。 よるのロボットは、どうやら出荷される途中、何かの拍子でトラックから転げ落ちてしまったようでした。 製造番号SGG-09221-521137。これがよる…
金曜の夜。新宿。雨。 雨宿りをしながら、遅刻している友人を待つ。 行き交う人々を見ながら、人間の顔ってグロテスクだなあ、としみじみ思う。 特に笑った顔がグロテスクだ。 こないださうわ最悪雨じゃん早く来いよ彼氏の家に行くから居酒屋決まってますか…
人生が変わるような大きな決断をするのは、なにも重大な事件が起こったときや大切な選択を迫られたときだけではない。例えば今回、ビスコが決断したきっかけは、友人のカナが口に出したほんのささいな一言だった。 「ビスコは懐メロが好きなんだね」 教室で…