2010-01-01から1年間の記事一覧

ローファー 踏みつけ 女子高生

遠くから野球部が練習する声が聞こえる。私は今、担任の福永を踏みつけている。誰もいなくなった放課後の教室で、女子高生の私が、四つん這いになった教師の背中を踏みつけている。ローファーも履いたまま。 しばらくグリグリと踏みつけていると、やがて福永…

最近の世界情勢

平行世界とお化けタオル。 二、三枚のDVDと朝の光。 固いご飯と昨日のカレー。 幸せそうな音楽と空虚な精神。 無意義な写真と無意義な言葉。 言葉遊びと文鳥の顔。 かなり緊迫している状況である。APEC? そんなの知らんよ。

回転椅子で眼がくるくる回る

座る。床を思い切り蹴り出すと、椅子はいとも容易くクルクルと回りだした。部屋の風景が真横にだらしなく延びて行く。さらに床を蹴る。さらにもう一度。蹴りだす度に回転の速度は増し、ついに視界には大小様々な帯がボーダー柄のように並ぶばかりになった。 …

無色透明ハーモニー

ぱちん、ぱちんぱちんと、頭の中で音がするのである。 物心ついた頃には既にこの音は鳴り始めていて、私は子供心に、この音が鳴り止んだ時が、私が死ぬ時なのだろうと確信していた。私の中の何かが弾けとび続け、私が成立出来ない程に疎になってしまった時、…

夜に闇虫

窓の外にはぽつりぽつりと街灯が立ち、その周囲だけが鈍く闇の中に浮かんでいる。私はオーディオで緩やかなジャズを流し、ソファに腰掛けたが、何だか自分の今の状況が酷く不幸な気がして堪らなくなり、すぐに音楽を止めた。 眼を閉じる。しばらく瞼の裏を眺…

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何も無い。何も無いのだった。 椅子の上で脚を抱え、くるくると回っているといつの間にか下が上になっていて、天井を転がり回っている有様だ。 窓の外は真っ白で、どうせこの部屋の外は眩しくて何も見えないのだろう、と私は考えた。天井を這って窓枠に手を…

おいしい牛乳うまい。

我が輩は猫であった。名前はもうにゃい。 子供の手をはにゃれた風船のように生きているのである。 生きた爪痕をなるべく残さにゃいように、気を付けて肉球で歩いているのである。 目標や生き甲斐や意味にゃど持たぬよう、常々注意を払っているのである。 そ…

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何も無い。何も無いのだった。 椅子の上で脚を抱え、くるくると回っているといつの間にか下が上になっていて、天井を転がり回っている有様だ。 窓の外は真暗で、どうせこの部屋の外には何もないのだろう、と私は考えた。壁を歩いて窓枠に手をつきしっかりと…

矛盾の斥力

五年越しに会った彼は、思わず別人と見違えるほどやつれ、落ち着きを失っていた。テーブルにもつかない間にウェイターを呼びつけ、紅茶を、と告げる。 「一体どうしたんだ、その様子は」 椅子に座り、まるで痙攣しているかのように震える指を見つめる彼に声…

デザインフェスタに出ます。今日。

こんにちは。 実はデザインフェスタに出ます。5月16日です。 つまりこれを書いている今日です。A-0062で本を20部売ります。 ほとんどこのブログに書いた短編なのでここを読んでる人はあんまりいらないかもしれませんが、一つだけ書き下ろしがあります。 http…

ペントリラクイズム

崇子はあまりにも美しかった。いや、正確に言えば、崇子はあまりにも美しすぎた。さらに精密に表現するのであれば、崇子の鼻の頭にある巨大なイボはあまりにも美しすぎた。 いわゆるオカルト用語で人面疽と呼ばれるものである。だが彼女の容姿は、眼や口がう…